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SDIとBNCの関係性とは?同軸ケーブルも併せてわかりやすく解説

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SDIとBNCの関係性とは?同軸ケーブルも併せてわかりやすく解説

「SDIケーブル」と「BNCケーブル」は、どちらも映像信号の伝送に使われるケーブルですが、呼び方が似ているため、それぞれの役割や正確な違いについて疑問を感じる技術担当者の方は少なくないでしょう。

特に、高画質な非圧縮デジタル映像を扱う現場では、これらの規格やコネクタの選定は安定したシステム構築に直結します。

SDI信号は、主に放送業界や業務用映像機器で採用されている高速シリアル・インターフェース規格であり、その伝送には「同軸ケーブル」が用いられ、端末には「BNCコネクタ」が使われるのが一般的です。

このため、「SDI」と「BNC」、そして「同軸ケーブル」の関係性を正しく理解することは、適切な機材選びやトラブルシューティングを行う上で非常に重要です。

この記事では、上記に関する製造業の技術担当者様が抱える疑問を解消するため、SDI規格、BNCコネクタ、そして同軸ケーブルの基本的な仕組みから規格の違いまでをわかりやすく解説いたします。

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SDI、BNC、同軸ケーブルとは?各用語の定義と関係性

混同されやすいSDI、BNC、同軸ケーブルですが、それぞれの定義と関係性は、次の通りです。

Serial Digital Interface(SDI)とは

SDIは「Serial Digital Interface」の略称で、主に放送業界や業務用映像機器で使用される、非圧縮のデジタル映像信号を伝送するための高速シリアル・インターフェース規格です。

最大の特長は、高画質なデジタル映像信号を劣化させることなく、一本のケーブルで長距離伝送できる点にあります。

その他、SDIの主な特徴は、次の2点です。

■非圧縮伝送の優位性

映像を圧縮しないため、画質の劣化が極めて少なく、色情報や解像度を厳密に扱うプロフェッショナルな現場で採用されています。

■規格の進化

技術の進展に伴い、伝送速度と対応解像度が向上しています。初期のSD-SDI(約270Mbps)から、HD-SDI(約1.485Gbps)、3G-SDI(約2.97Gbps)、さらに4K/Ultra HD対応の6G-SDIや12G-SDIといった高速規格が登場しています。

BNCコネクタ/BNCケーブルとは

BNCは「Bayonet Neill-Concelman」の略で、主に同軸ケーブルの端末に使用されるコネクタの一種です。
映像信号(SDI)のような高周波信号の接続に特化しています。

その他、BNCの主な特徴は、次の2点です。

■バヨネットロック機構

BNCコネクタは、差し込んだ後に約90度回転させるだけで確実にロック(固定)できる「バヨネットロック」機構を備えています。これにより、振動や衝撃によるケーブルの脱落を防ぎ、高い接続信頼性を保ちます。

■インピーダンス

SDI信号の伝送には、映像規格に合わせて標準化された75Ω(オーム)の特性インピーダンスを持つBNCコネクタが使用されます。50ΩのBNCコネクタも存在しますが、映像伝送とは用途が異なります。

現場では、このBNCコネクタが高周波信号ケーブルの代名詞的に扱われることから、BNCコネクタが両端についた同軸ケーブルを指して「BNCケーブル」と呼称されることも多くあります。

「同軸ケーブル」とは何か

一方、同軸ケーブルとは、SDI信号を含む高周波信号を効率的かつ安定して伝送するために設計されたケーブルです。
つまり、SDIケーブルは同軸ケーブルの一種です。

同軸ケーブルの構造は、中心にある信号を伝える「中心導体(芯線)」と、その外側を覆う「外部導体(シールド)」が、電気的に絶縁された「絶縁体」を挟んで配置されています。
外部導体が中心導体と同一の軸(同軸)上にあるのが特徴です。

同軸ケーブルには、主に次の2つの特徴があります。

■高いシールド性能

この同心円状の構造により、外部からのノイズ(電磁波)の影響を受けにくく、また、ケーブル内部の信号が外部にもれるのを防ぐ、高いシールド性能を発揮します。

■特性インピーダンス

ケーブルの構造によって決まる固有の抵抗値である「特性インピーダンス」は、SDI用途では75Ωに統一されています。

同軸ケーブルについて詳しくは、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】
同軸ケーブル選びで失敗しないために!3C・4C・5Cの違いを解説

SDI・BNC・同軸ケーブルの関係性

SDI、BNC、同軸ケーブルは、高品質なデジタル映像伝送システムにおいて三位一体の関係にあります。

■SDI

映像信号を伝送するための規格(ルール)。

■同軸ケーブル

SDI信号を物理的に運ぶ媒体(道)。

■BNCコネクタ

機器とケーブルを確実に接続する部品(インターフェース)。

SDI規格に基づいたデジタル映像を安定して伝送するためには、規格に準拠した75Ωの同軸ケーブルを使用し、その端末に75ΩのBNCコネクタを取り付ける必要があります。

この一連のシステム全体が、75Ωのインピーダンスで統一されることが、信号の反射を防ぎ、映像品質を保つ上で最も重要なポイントとなります。

SDIと同軸ケーブル(BNC)で押さえておきたい違い・選び方

SDI規格の高速化が進む現代において、技術担当者がケーブルを選定する際に最も重要となるのが、以下の三つの要素です。

インピーダンス

伝送品質を決定づける最重要項目がインピーダンスの統一性です。

SDI規格のシステムは、すべて75Ωの特性インピーダンスで設計されています。ケーブル、コネクタ、そして接続するすべての機器(送受信機など)がこの75Ωでなければなりません。

もし、途中で50Ωのケーブルやコネクタが混入すると、インピーダンスの不整合が発生し、信号の反射が起こります。
その結果、映像信号が乱れたり、最悪の場合は映像が途切れたりするなど、伝送障害の原因となります。

ケーブルやコネクタには、必ず「75Ω」の表示があることを確認し、50Ω製品との混用を避ける必要があります。

信号規格・伝送品質・伝送距離

SDI信号は高速化するほど、ケーブル内での信号減衰(信号強度の低下)が激しくなります。

伝送速度が約270MbpsのSD-SDIと比較して、約12Gbpsの12G-SDIでは、同じケーブルを使った場合の伝送可能距離が大幅に短縮します。

伝送距離を確保するためには、ケーブルの芯線の太さや誘電体の材質などにより決まる「低減衰特性」を持つ高グレードの同軸ケーブルを選定する必要があります。

どのSDI規格(3G-SDIか、12G-SDIかなど)を使用し、何メートルの距離を伝送したいのかを明確にし、その距離で求められる減衰量を満たすケーブルを選択することが、安定稼働の鍵となります。

用途や選び方の違い

ケーブルの選定は、信号品質だけでなく、使用環境の物理的条件も考慮しなければなりません。

一度、配線したら動かさない固定配線の場合は、信号特性を優先したケーブルで問題ありません。
しかし、中継やイベント会場など、頻繁にケーブルの敷設や撤収が行われる可動現場では、ケーブルに曲げや引っ張りの力がかかるため、柔軟性と耐久性の高いケーブル構造が求められます。

BNCコネクタは、ケーブル外径や芯線径に適合した製品を選び、専用の圧着工具や適切なハンダ付けで正しく取り付けなければなりません。
この取り付け作業の品質が、信号の反射を防ぎ、接続の信頼性を長期にわたって維持する上で非常に重要です。

BNCコネクタの取り付け方について詳しくは、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】
BNCコネクタ付き同軸ケーブルの作り方

SDIとBNC/同軸の違いを理解して、最適なケーブルを選ぼう

SDIは「規格」、BNCは「コネクタ」、同軸ケーブルは「媒体」と、それぞれの役割は異なりますが、すべてが75Ωという特性インピーダンスで統一することで、高品位なデジタル映像の安定伝送を実現できます。

技術担当者様が、SDIを用いたシステムを構築・運用する際は、特に高速規格(3G/6G/12G-SDI)での伝送において、ケーブルの低減衰特性とインピーダンスの統一性(75Ω)を最優先で確認することが求められます。

使用環境に応じた柔軟性や耐久性も考慮に入れつつ、規格に適合した適切な75Ω同軸ケーブルとBNCコネクタを選定することで、信号反射やノイズによる映像トラブルを未然に防ぎ、信頼性の高い映像伝送システムを構築できるでしょう。

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