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光ケーブルイーサネットとは?種類や規格をわかりやすく解説!

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光ケーブルイーサネットとは?種類や規格をわかりやすく解説!

光ケーブルイーサネットとは、イーサネットの種類の一つで、光の信号を利用してデータを伝送します。ガラスやプラスチック製の非常に細い繊維で構成された光ケーブルを使用し、電磁ノイズの影響を受けにくいという特徴があります。

今日の製造業において、IoTやAIの導入が進む中で、工場内のネットワーク環境の重要性はますます高まっています。

特に、高速かつ安定したデータ通信を支える「光ケーブルイーサネット」は、生産効率の向上や新たな技術導入の鍵となります。

しかし、光ケーブルイーサネットが具体的にどのようなもので、どのような種類や規格があるのか、詳細を把握している方はまだ少ないかもしれません。

そこでこの記事では、製造業の技術部の皆様が抱える疑問を解消するため、光ケーブルイーサネットの基本から種類、そして規格について、わかりやすく解説いたします。


イーサネットとは

イーサネットとは、コンピューターネットワークにおいて最も普及している通信規格の一つで、主に有線LANや有線WANで利用されています。

有線ローカルエリアネットワークで、パソコンやサーバー、プリンターなどの機器を接続し、データを送受信するためのルールを定めたものです。

工場内のIoTデバイスや生産管理システムなど、さまざまな機器が連携する製造業においては、イーサネットの安定性と信頼性が極めて重要になります。

イーサネットの種類

イーサネットで使用されるケーブルには、大きく分けて「光ファイバーケーブル」、「LANケーブル(ツイストペアケーブル)」、「同軸ケーブル」の3種類があります。

それぞれに特徴があり、用途や環境に応じて使い分けられています。

 

光ファイバー

光ファイバーケーブルは、光の信号を利用してデータを伝送するケーブルです。

ガラスやプラスチック製の非常に細い繊維で構成されており、電磁ノイズの影響を受けにくいという特徴があるため、安定した通信が行えます。

長距離かつ高速なデータ伝送が可能となるため、特に大規模な工場や異なる建屋間でのネットワーク構築に適しています。

 

LANケーブル

LANケーブルは、一般的に「イーサネットケーブル」や「ツイストペアケーブル」とも呼ばれるものです。

銅線をより合わせたペア線で構成されており、オフィス環境や工場内の、比較的、短距離でのデータ伝送に適しています。

カテゴリー(Cat5e、Cat6、Cat6A、Cat7など)によって伝送速度や周波数帯域が異なり、使用目的に応じて適切なカテゴリーを選択する必要があります。


同軸ケーブル

同軸ケーブルは、通信やデータ伝送を行う際に使用されるケーブルの一種で、中心導体を絶縁体が覆い、その外側に外部導体(シールド)と外装が施されています。

この構造により、外部ノイズの影響を最小限に抑え、信号を安定して伝送できる特性を持っています。

同軸ケーブルの名前の由来は「中心導体と外部導体が同じ軸を共有している」という構造からきています。その特性として、高い信号品質と耐久性を持つ点が挙げられます。

 

同軸ケーブルについて詳しくは、下記の記事もご覧ください。


【関連記事】

同軸ケーブルとは?構造・種類・選び方をわかりやすく解説

光ケーブルとLANケーブルの違い

光ケーブルとLANケーブルは、どちらもネットワーク通信に用いられますが、その特性には大きな違いがあります。

それぞれの違いを理解することは、製造現場のネットワーク構築において最適な選択をする上で不可欠です。

 

伝達速度・帯域幅

光ケーブルは、LANケーブルと比較して圧倒的に高速なデータ伝送が可能です。これは、データ伝送に使われる帯域幅が広いためです。

光信号を利用するため、電磁干渉の影響を受けにくく、ギガビットイーサネット(GbE)から10ギガビットイーサネット(10GbE)、さらには100ギガビットイーサネット(100GbE)といった、より高速な通信に対応できます。

一方、LANケーブルはカテゴリーにもよりますが、一般的なオフィス環境や小規模な工場であれば十分な速度を提供できますが、大規模なデータ転送やリアルタイム性を求める環境では、光ケーブルが優位となります。

 

伝送距離

光ケーブルは、信号の減衰が非常に少ないため、LANケーブルよりもはるかに長い距離を伝送でき、屋内外に使用されます。

数キロメートルから数十キロメートルといった長距離でも安定した通信を維持できるため、工場内の広範囲にわたるネットワーク構築や、異なる敷地間の接続に適しています。

一方、LANケーブルの場合は、一般的に100メートルが伝送距離の限界とされています。

 

セキュリティ

光ケーブルでは、光信号でデータを伝送するため、外部からの電磁波による盗聴や干渉が極めて困難です。

その一方で監視がしやすいため、情報セキュリティ上で優れているといえます。

ただし、タッピング装置による盗聴は可能なため、セキュリティ対策は必要です。

一方、主に銅線とプラスチック被覆でできているLANケーブルの場合、電磁波の漏えいによる盗聴のリスクが理論上存在します。このため、物理的なセキュリティ対策が、より重要になります。

 

耐久性

光ケーブルは石英ガラスやプラスチックなどの繊細な繊維でできていますが、屋内外での使用に耐えられるような仕様になっているため、電磁ノイズに強く、腐食や経年劣化にも比較的強い特性を持っています。

これにより、工場のような過酷な環境下でも安定した運用が期待できます。

ただし、曲げには弱く、無理な曲げは断線の原因となるため、取り扱いには注意が必要です。

一方、LANケーブルは銅線を使用しているため、柔軟性がありますが、外部からの物理的な損傷や、落雷・気温の変化、電磁ノイズの影響を受けやすい場合があります。

 

拡張性

光ケーブルは帯域幅が広く通信速度が速いため、将来的な通信速度の向上や、より多くのデバイスを接続する際の拡張性に優れています。

一度、光ファイバーのインフラを構築すれば、必要に応じて通信機器をアップグレードするだけで、容易に高速化に対応できる場合が多いです。

これは、技術革新の速い製造業において、将来を見据えたネットワーク投資として非常に有効だといえるでしょう。

ただし、コストは光ファイバーの方がLANケーブルよりも高いため、予算に応じた導入が大切です。

 

コスト

繰り返しになりますが、初期導入コストに関していえば、一般的に光ケーブルはLANケーブルよりも高価になる傾向があります。

ケーブル自体の価格に加え、光信号を電気信号に変換するための光メディアコンバーターや、光ファイバーの融着作業など、専門的な施工が必要となります。

しかし、長期的視点で見ると、光ケーブルの高速性や安定性、拡張性は、生産性向上やトラブル減少につながり、トータルコストで優位になる可能性もあります。

※記載しているコストは一般的な値となります。当社品に関しては、お問い合わせください。

 

イーサネットで使用されるマルチモード光ファイバーの種類

マルチモード光ファイバーには、主にOM1、OM2、OM3、OM4、OM5といった種類があります。

これらの違いは、伝送できる距離や帯域幅に影響します。
 

  全モード励振帯域(最小モード帯域 MHz・km)
波長(mm) 850 953 1300
光ファイバー種類 コア径(μm      
OM1 62.5 200 N/A 500
OM2 50 500 N/A 500
OM3 50 1500 N/A 500
OM4 50 3500 N/A 500
OM5 50 3500 1850 500
 

これらのマルチモード光ファイバーは、光の伝搬モードの違いにより、それぞれ異なる特性を持ちます。製造業においては、導入するシステムの要件や将来的な拡張計画を考慮し、適切なOM規格を選択することが重要です。

 

OM1、OM2、OM3、OM4、OM5の違いについては、下記の記事もご覧ください。

 

【関連記事】
OM3 マルチモード光ファイバー ケーブルとは?使用するメリットを解説!

 

まとめ

 

光ケーブルイーサネットは、その優れた伝送能力と信頼性により、大規模なデータ処理やリアルタイム制御が求められる現代の製造現場を強力に支える基盤となります。

最適なネットワーク環境の構築は、生産性向上、品質安定、そして将来的な競争力強化に直結するでしょう。



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