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もう迷わない!光ケーブルのマルチモードとシングルモードの違いを徹底解説!

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もう迷わない!光ケーブルのマルチモードとシングルモードの違いを徹底解説!

光ケーブルのマルチモードとシングルモードの違いとは、内部を伝搬する光の経路の違いです。シングルモードとは、その名の通り、1つのモード(光の経路)でデータを伝送するケーブルです。

製造業の現場で、高速かつ安定したデータ通信は不可欠です。
特に、光ケーブルはその通信インフラを支える重要な要素であり、シングルモード光ケーブルの選定に悩む技術部の方も少なくないのではないでしょうか。

多種多様なケーブルの中から、自社の用途に最適な一本を見つけ出すのは容易ではありません。

この記事では、特に光ケーブルのシングルモードとマルチモードの違いに焦点を当て、それぞれの特性や選定のポイントをわかりやすく解説いたします。

※尚、この記事で記載しているコストについては一般的な内容を元に記載しています。

光ケーブルのシングルモードとマルチモードの違い

光ファイバーケーブルは、内部を伝搬する光の経路の違いによって「シングルモード」と「マルチモード」の2種類に大別されます。

シングルモード

シングルモードとは、その名の通り、1つのモード(光の経路)でデータを伝送するケーブルです。
1度に1つの光信号を運ぶため、通信速度が速く、40km以上の長距離用途に適しています。
大容量かつ安定したデータ通信が可能なため、CATV、キャンパスのバックボーン、テレコミュニケーション、大規模企業など広範囲にわたる長距離、広帯域ネットワークリンクに向いています。
ガラスコアはマルチモードよりはるかに細いです。

シングルモードのメリット

シングルモードの主なメリットは、次の3点です。

■長距離伝送が可能

シングルモード光ケーブルの最大のメリットは、非常に長い距離でもデータ信号の減衰が少なく、安定した通信が可能な点です。

これは、光が1つの経路を通るので、光信号の拡散や遅延が最小限に抑えられるためです。

このため、数百kmにわたる長距離通信や、データセンター間の接続、キャリアネットワークなどで利用されます。

■高帯域幅に対応

シングルモードは大容量のデータを高速で伝送する能力に優れています。

10Gbps、40Gbps、さらには100Gbpsといった高速イーサネットの標準に対応しており、将来的な通信速度の向上にも対応しやすい特性があります。

 

■信号損失が少ない

光信号のモード分散(光が複数の経路を通ることで発生する信号の広がり)がほとんどないため、信号損失が非常に少なく、クリアな通信が可能です。

シングルモードのデメリット

一方、シングルモードにもデメリットはあります。

主に、次の3点です。

■コストが高い

マルチモード光ケーブルと比較して、ケーブル自体や関連する送受信機器(光トランシーバなど)のコストが高価になる傾向があります。

これは、コア径が小さいために製造が難しく、光を正確に注入するための高精度なレーザー光源が必要となるためです。

 

■接続が難しい

コア径が非常に小さいため、コネクタの接続や融着接続などの作業には高い精度と専門的な技術が求められます。

わずかなズレでも性能に影響が出る可能性があります。

 

■曲げに弱い

マルチモードケーブルに比べて曲げに弱く、急な角度で曲げると光信号が漏れてしまい、伝送損失が増加する可能性があります。 

マルチモード

マルチモード光ケーブルは、複数のモード(光の経路)で分散してデータを伝送します。
短時間でより多くのデータを送信することができますが、分散率と減衰率が高いので、短距離向けです。通信速度が遅く、最大距離が短いので、一般的なデータや音声など、低容量で短距離での用途に最適です。シングルモードより接続が簡単です。

マルチモードのメリット

マルチモードの主なメリットは、次の3点です。

■コストが低い

シングルモード光ケーブルと比較して、ケーブル自体の価格が安価であり、使用する光源(LEDなど)も比較的安価なものが利用できるため、全体的なシステムコストを抑えることができます。 

 

■接続が容易

コア径が大きいため、接続作業が比較的、容易であり、専用の工具や高い技術を要さずに配線できる場合があります。 

 

■曲げに強い

シングルモードケーブルよりも柔軟性があり、多少の曲げにも耐性があります。 これは、工場内の複雑な配線や、機器間の短い距離での接続に適しています。


マルチモードのデメリット

マルチモードの主なデメリットは、次の3点です。

■伝送距離が短い

複数の光が異なる経路を通るため、光の到達時間にばらつきが生じる「モード分散」が発生しやすくなります。
このモード分散が原因で、伝送距離が長くなるほど信号が劣化し、通信速度が制限されます。一般的に、数百メートル程度の短距離通信に適しています。

 

■帯域幅に制限がある

伝送距離が長くなるにつれてモード分散の影響が大きくなるため、高帯域幅での伝送には限界があります。

■古い規格の互換性

古いマルチモードケーブル規格(OM1、OM2など)は、新しい高速ネットワーク(10Gbps以上)での利用に適さない場合があります。 

距離の違いについて

シングルモード光ケーブルとマルチモード光ケーブルの最も顕著な違いの一つは、伝送可能な「距離」です。

シングルモード光ケーブル

光が1つの経路を通るため、光信号の減衰や分散が極めて少なく、数十キロメートルから最大で100キロメートル以上の長距離伝送が可能です。
このため、シングルモード光ケーブルは長距離用途に適しています。
データセンター間の接続や、都市間、あるいは国際間の通信網など、広範囲にわたるネットワーク構築に向いています。

マルチモード光ケーブル

一方、マルチモード光ケーブルは複数の光が異なる経路を通るため、光信号の分散(モード分散)が発生しやすく、伝送距離が長くなるにつれて信号品質が低下します。
このため、一般的に伝送距離は数百メートル以内に制限されます。 具体的には、10Gbpsの通信でOM3ケーブルが300m、OM4ケーブルが400m程度の距離に対応します。
工場やオフィスビル内のフロア間、あるいはラック内の機器間接続など、比較的短い距離での利用が一般的です。

価格の違いについて

光ケーブルを選定する上で、コストは重要な要素となります。
シングルモードとマルチモードでは、ケーブル本体だけでなく、関連する機器の価格にも違いがあります。

シングルモード光ケーブル

一般的に、シングルモード光ケーブルマルチモード光ケーブルよりも高価です。
これは、コア径が小さく、製造時に高い精度が求められるためです。
また、シングルモード光ケーブルを使用する際には、高精度なレーザー光源を持つ光トランシーバが必要となり、これもまた高価になる要因です。
しかし、一度、導入すれば長距離・高帯域幅の通信が可能となるため、長期的にはコストパフォーマンスが高いと判断されるケースもあります。

マルチモード光ケーブル

マルチモード光ケーブルはシングルモード光ケーブルに比べて、安価に導入できます。
コア径が大きいため製造が比較的、容易であり、安価なLED光源を使用する光トランシーバが利用できるためです。マルチモードトランシーバの価格は、シングルモードトランシーバの1/2~1/3程度です。
短距離のネットワーク構築であれば、マルチモード光ケーブルは初期費用を抑えるための有効な選択肢となります。
初期投資を抑えたい場合や、短距離での利用が主である場合はマルチモードが有利ですが、将来的な拡張性や長距離伝送の必要性を考慮すると、シングルモードの導入を検討することも重要です。

通信速度の違いについて

光ケーブルの通信速度は、ケーブルの種類だけでなく、使用する機器やネットワーク環境全体によって決まりますが、ケーブル自体の特性も大きく影響します。

シングルモード光ケーブル

本質的に非常に高い通信速度に対応できます。

モード分散がほとんど発生しないため、光信号の劣化が少なく、10Gbps、40Gbps、100Gbps、さらにはそれ以上の超高速通信も可能です。

将来的にネットワークの高速化を予定している場合や、大容量データを頻繁にやり取りする環境では、シングルモードが有利です。

マルチモード光ケーブル

複数の光の経路があるため、モード分散による信号の広がりが生じ、伝送距離が長くなるにつれて通信速度に制限がかかります。

最新のマルチモード規格であるOM5では最大400Gbpsまで対応可能ですが、これは特定の距離制限内で、かつ最新の機器を使用した上での性能です。

一般的には、1Gbpsや10Gbpsといった通信速度で利用されることが多いです。


工場内のEthernet/IP通信など、比較的近距離で高速ではない通信を多数行うような用途に適しています。

シングルモードとマルチモードの正しい選び方

製造業の現場で光ケーブルを選定する際には、ここまでにお伝えしてきたような、シングルモードとマルチモードの違いを把握した上で、どちらが適切かを判断する必要があります。

 

以下に、選ぶ際のポイントを整理してご紹介します。

 

伝送距離

伝送距離は、最も重要な判断基準となるでしょう。

数百メートルを超える長距離の通信が必要な場合は、迷わずシングルモード光ケーブルを選択すべきです。

一方、工場内の機器間接続や、フロア内のネットワークなど、数百メートル以内の短距離であればマルチモード光ケーブルも選択肢となります。

 

必要な通信速度と帯域幅

現在のネットワークで必要な通信速度がどの程度か、そして将来的にどの程度の速度まで高速化する可能性があるかを検討しましょう。

高帯域幅が必要な場合や将来的な拡張性を重視する場合は、シングルモードが有利です。

 

予算

初期導入コストをどの程度まで使えるかを考慮しましょう。

初期費用を抑えたい場合にはマルチモード光ケーブルが有効ですが、長期的視点での運用コストやメンテナンスコストも勘案する必要があります。

 

設置環境

ケーブルの配線経路に曲がりが多い場合や、扱いやすさを重視する場合は、比較的、曲げに強いマルチモード光ケーブルが適している場合があります。

ただし、シングルモードでも曲げに強い設計のケーブルも登場していますので、確認が必要です。

 

既存設備の互換性

既に光ケーブルが敷設されている場合は、既存のネットワーク機器との互換性を確認することも重要です。

 

トーコネのサービスが選ばれる理由

トーコネでは、お客様の多様なニーズに応えるため、高品質な同軸コネクタを提供しております。

製造業の厳しい環境下でも安定した性能を発揮し、お客様のビジネスを強力にサポートいたします。

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サポート体制

製品選定のアドバイスから導入後のフォローまで、トーコネは一貫したサポートを提供します。これにより、導入企業は安心して利用を続けられます。

 

詳しくは、光ケーブルの製品一覧ページをご覧ください。

https://www.to-conne.co.jp/products/fiber-Optic-Cable.html#a03

まとめ

光ケーブルのシングルモードとマルチモードは、それぞれ異なる特性と用途を持ちます。
シングルモードは長距離・大容量通信に適し、マルチモードは短距離・コスト重視の環境で強みを発揮します。

製造業の技術部として最適な光ケーブルを選定するには、伝送距離、通信速度、予算、設置環境、そして既存設備との互換性を総合的に考慮することが重要です。 適切なケーブル選びは、製造現場の通信インフラを強化し、安定稼働と効率向上に直結します。

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